「運動中に水を飲むとバテる」は迷信?
こんにちは、ほうと接骨院院長の稲本です。
暑さのピークも過ぎようとしている時期ですが、今回は水分補給についてお話したいと思います。
さて、もう古い話ですが「運動中に水を飲むとバテるから、運動中に水を飲むな!」といわれていた時代がありました。
1983年生まれの自分が中学校になったあたりでしきりに水分を摂るように勧められるようになった記憶がありますので、このあたりが「運動中に水分を摂取すべきである」となった転換点かもしれないですね。
・・・で、「運動中に水を飲むとバテる」、「運動中に水を飲むな」というこの教えですが、現在はただの根性論のように言われています。
ですが、実はこの現在は根性論とされている教えにも一理あるのです。
運動中、ヒトは体温の上昇を抑えるために汗をかきます。
汗の主成分は水ですが、塩分(ナトリウムなど)も含まれており、発汗とともに塩分も体外へ排出されることとなります。
この時に、”塩分を含まない”水だけを摂取するとどうなるでしょうか?
摂取した水分により少なくなった体液が薄められて体内の塩分が足りない状態(低ナトリウム血症)となります。
体内の細胞が正常に活動するためには体内の水分(体液)に一定濃度の塩分が必要です。
著しく塩分が不足すると疲労感が現れるようになり、さらにひどくなると頭痛や吐き気、果ては痙攣(けいれん)、意識障害が発生します。
この飲水によって引き起こされる低ナトリウム血症は水中毒と呼ばれ、運動して大量に発汗した状態から、”塩分を含まない”水を大量に摂取することは、水中毒を引き起こし、バテるどころか非常に危険な状態を招く行為であったのです。
昔は経口補水液はもちろんのこと、スポーツドリンクも一般的ではなかったでしょうし、さらに時代を遡ると塩自体が貴重品で手に入らない事もあったのでこういった教えが残ったのではないかと思います。
「スポーツドリンクなら塩分も入ってるから、いっぱい飲んでも大丈夫!」と思う方もいるかも知れません。
確かに、スポーツドリンクには塩分が含まれており、身体活動のエネルギー源となる糖分も入っているため、運動中の水分補給には適しています。(さらに、ナトリウムとブドウ糖が体内に吸収される際に水も共に吸収されるため、効率良く体内に水分が補給されます。)
しかし、スポーツドリンクでも過信は禁物です!
マラソン中の大量発汗などの時にスポーツドリンクを大量に摂取して水中毒となった事例もあります。
あまりに脱水状態がひどい場合は、より塩分が高く水分吸収もより効率的に行われるよう調節された経口補水液(OS-1など)が必要です。
また、スポーツドリンクには糖分がかなり多く含まれているため、毎日摂取を続けていると糖尿病に類似した症状(ペットボトル症候群と呼ばれています)を引き起こすため、大変危険です。
毎日飲むような場合は、薄めてから少しずつ飲むのが良いですね。
他には、冷たい物は胃や腸に負担をかけてしまうため、冷え性の人は一気飲みせず少しずつ分けて飲むように。
高齢の方は咽(のど)の渇きを感じづらくなっているため、咽の渇きを感じる時にはすでに脱水状態となっていることがあります。
ですので、この時期は咽の渇きを感じていなくてもこまめに水分を摂るように注意して欲しいですね。
長々と書きましたが、まとめると・・・
水分は普段は出来れば常温で、咽が渇く前に少しずつ摂取する、
汗をかいた後など速やかに水分と塩分を吸収する必要がある場合は、塩分と少し糖分を加えたものを飲む。
という飲み方がオススメです。
塩分と糖分と水分・・・スイカに塩をかけるということは、味が甘く感じるということだけでなく、夏場の水分補給という面で見ても理にかなっていたということですね!
今後もこういった食べ合わせの妙といったものも取り上げていければ、と思います。
それでは今回はこの辺りで失礼します(^_^)ノシ