炎症のメカニズム
以前のコラムでPEACE&LOVEについて説明しました!
その中で炎症は治る過程と書きましたが今回は「炎症」を生理学的に見ていきましょう。
炎症の5つの特徴
①局所の血管が広がり、血流が過剰に増加する。
②毛細血管の通り抜ける性質が増大し、間質に体液が漏れ出る。
③毛細血管から漏れ出た大量のフィブリノゲンや他のタンパク質が原因となって、間質で体液が固まることがよくある。
④顆粒球、マクロファージが組織に移動する。
⑤組織で細胞が腫れて膨らむ。
炎症の隔離作用
炎症によって起こる最初の出来事の1つは損傷部位を正常組織から隔離することです。
炎症部位の体内の細胞と細胞の間にある空間とリンパ管はフィブリノゲンの塊で守られているのでしばらくすると、体液は炎症部位をほとんど流れなくなります。
この隔離によって細菌や毒性のある物質の拡がりを遅らせることが出来ます。
炎症過程におけるマクロファージと好中球の応答
・防御の第1段階
炎症が始まって数分以内に、すでに組織内に存在するさまざまなマクロファージがすぐに貪食活動を開始します。
これらのマクロファージが感染や炎症物質により活性化されるとまず個々の細胞が大きくなります。
続いて粘着性が弱くなり、移動可能となり、最初の1時間ほどで感染防御の最前線を作ります。
最初の移動性マクロファージの数は多くないが生命を守るうえで重要です。
・第2段階
炎症が始まり1時間以内で多数の好中球が血液から染み出し炎症部位へ集まり始めます。(浸潤)
この組織に集まる現象は炎症組織で作られる炎症性サイトカイン(インターロイキン-1)などの化学物質によって誘導されます。
こうして組織の損傷が始まって数時間以内に、好中球は損傷部位に十分供給されます。
血液中の好中球は成熟しているので細菌を殺し、外来性の物質を除去する清掃活動にすぐに取りかかれます。
・第3段階
好中球の浸潤と連動して単球が血管から炎症組織に移行して、サイズが大きくなりマクロファージになります。
しかし単球の数は循環血液中、骨髄中の貯蔵量ともに低いため、炎症組織でのマクロファージの増加は好中球よりもかなり遅く、効果を発揮するのは数日かかる。さらに、単球は炎症組織に浸潤したあとも未熟で細胞が大きくなるまで8時間以上かかります。
この過程を経て貪食のための組織マクロファージとして十分な能力を得ます。
数日から数週間後には骨髄における単球生産が著しく増加するため、マクロファージは炎症部位において優勢な食細胞になります。
またマクロファージは抗体の産生開始にも重要な役割を果たします。
・第4段階
骨髄での顆粒球と単球の生産量の著しい増加です。
炎症組織から刺激が続けば骨髄は、数カ月そして数年にわたり、膨大な数の細胞を作り続け、時には通常の20-50倍の速度で増産することが出来ます。
フィードバック制御
炎症に対応するマクロファージの制御は24種類を超える因子が関与していますがそのうち5つが支配的な役割を担っています。
①腫瘍壊死因子(TNF)
②インターロイキン-1(IL-1)
③顆粒球・単球コロニー刺激因子(GM-CSF)
④顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)
⑤単球コロニー刺激因子(M-CSF)
これらの因子は炎症組織内の活性化マクロファージから作られます。
3種類のコロニー刺激因子は骨髄での顆粒球とマクロファージを増産を刺激します。
TNF、IL-1、コロニー刺激因子は協働して強力なフィードバック機構を構成します。
このフィードバックは組織の炎症とともに開始され、防御的機能をもつ多数の白血球の生産します。
これが炎症の原因を取り除くことになります。
膿の形成
好中球やマクロファージが細菌や壊死組織をたくさん食べた後、基本的に全ての好中球とマクロファージの多くは死滅します。
数日後、炎症組織内に空洞が形成されます。
この空洞には死滅組織、死滅した好中球やマクロファージ、組織液が含まれます。
この混合物は一般に膿として知られています。
膿の中にある死滅細胞や壊死組織は数日にかけ徐々に自己分解し、最終的に周囲の組織、リンパに吸収され組織障害のあとは消失します。
少し難しくなってしまいましたが炎症は免疫が働いてケガや感染などから身体を守るために戦ってくれている状況になります。
炎症は治癒過程に必要なものになりますので無理に引かせようとせず、免疫に戦ってもらいましょう。
参考著書 ガイトンの生理学 原著13版 John E.Hall著


