雪と「もぐさ」の関係?②
こんにちは。ほうと接骨院の院長、稲本です。
今年の二月四日は立春、そう、暦の上ではもう春です。
ここから寒さが緩み始める時期となりますが、まだまだ寒い時期ですのでしっかりと体を温めて過ごしてくださいね。
さて、今回は前回の続きで、なぜ雪深い地域でもぐさ製造が盛んだったのか私見を述べていきたいと思います。
単純にお灸は体を温めるものなので寒い地域でよく使われていたという理由も大きいかと思いますが、それだけでは日本独自で精製度の高いもぐさが製造・使用されているという説明ができません。
まず、「もぐさ」の原料は何かというと、それは蓬餅などに使われて我々にもとてもなじみのある植物であるヨモギです。
「もぐさ」はこのヨモギの葉の裏に生えている白い毛を精製して作られます。
「もぐさ」製造過程ですが大雑把には
①5月から7月のヨモギの葉がまだ若いうちに採取し天日干しして、冬季の製造前に寒気の厳しい時期に再度乾燥させる。
②乾燥したヨモギの葉をカットしたのち、石臼で引く。
③ふるいにかけてもぐさと異物を選別する。
④唐箕(とうみ)という風力を起こす特殊な道具を用いて、さらに不純物を除去していく。
というような段階が踏まれ、白い毛以外の不純物が取り除かれて上質な「もぐさ」となります。
ヨモギの白い毛にはヨモギの香りのもととなる精油成分が含まれていて、様々な薬効をもたらします。
つまり、この白い毛の発達具合が「もぐさ」の質を決める要因であると考えられます。
この白い毛ですがこれはヨモギが乾燥地帯など厳しい自然環境の中でも生育していくために発達したものとされています。
乾燥地帯ではないですが、雪国も厳しい環境であるために白い毛を発達させて精油成分を多く含むようになっているのかもしれません。
さらに白い毛は日当たりの良いところで育ったヨモギのほうが葉の裏に多く密生し、成葉より若葉のほうがより毛が密生するといことがわかっています。
以上から雪国で「もぐさ」づくりが盛んである理由を考えると、、、
雪により他の植物が育たない中、繁殖力の強いヨモギは雪の中でも生育でき、
厳しい環境のから葉を守るために白い毛に多くの精油成分をため込み、
春の雪融け時には他の植物がいないために日光や土壌の栄養を独り占めして、葉と白い毛を大きく成長させることができる。
もぐさの製造時期や過程ににおいては、白い毛に含まれる精油成分は揮発性であるため、できるだけ熱が発生しない、つまり寒さの厳しい時期・場所が適している。
こういった理由から「もぐさ」づくりが雪深い地域で発達したものと考えられます。
それでは、今回のお話はここまでで失礼します。